水性塗料は、希釈剤として水が用いられる塗料の総称です。通常、塗料は顔料や樹脂などの成分を希釈剤で伸ばして製造され、その希釈剤の選択によって塗料の性質が大きく変化します。水が希釈剤となる水性塗料は、その性質も水に由来する特徴が見られ、油性塗料のような強い臭いがないのが魅力の一つです。更に、シックハウス症候群の原因となるVOC含有量が少なく、人や環境への影響が油性塗料よりも少ないのが特徴です。

水性塗料の特徴として、完全に乾燥して初めて塗膜が強くなる点が挙げられます。これにより、雨や気温の低い条件下では施工が難しく、季節や時期を選ばざるを得ません。ただし、主成分が「水」であるため、基本的には非危険物扱いとなり、保管も容易です。引火の心配もないため、塗装作業時の安全面においても心強い特徴と言えます。

価格面では、水性塗料はアクリルシンナーやラッカーシンナーなどの溶剤が含まれていないため、比較的安価です。コストダウンを考える際には、水性塗料を選択するといいでしょう。

ただし、水性塗料には注意が必要です。塗装できない素材があるため、素材ごとに適切な下塗り材の活用が求められます。特に、水性であるがゆえに、鉄部などの素材によっては塗料が弾いてしまうことがあります。そのため、施工前に素材の特性を理解し、適切な下塗り材を活用することが重要です。